消えてゆく
記憶しているうちでは二度目になる、死んで幽霊になってさまよう夢を見た。
私は十代半ばくらいの女で、宿泊学習か修学旅行のようなイベントに参加していた。
まだ夕日が出ているくらいの時間に夕食をとった。ホテルの一階で、広いホールでバイキング形式の夕食を食べた。同席したのは全員私と同じくらいの歳の女で、大柄で温厚そうな女性、小柄で仏頂面の女性、しっかりしているリーダー的な女性、背が高くほっそりしている女性だった。彼女等はどうやら泊まる部屋も同じらしい。最初は大柄な女性と話していたが、話がパズル雑誌の話になると小柄な女性が話に加わってきた。話しにくそうな人だと思っていたが案外気さくな性格で、部屋に戻ったら自分だけでは解けないというパズルを一緒に考えてほしいと言われたので私は快く引き受けた。
夕食は終わり、私たちはホテルの外に出て黄色く小さい車で移動した。私以外は運転免許を持っていないようだが、リーダー格の女性が気合いと根性で溝にはまりそうになりながらも運転していた。運転を代わろうと申し出ても、もう少しで着くからと言ってとりあってもらえなかった。
着いた場所はバンガローやコテージのような小さな木造の宿泊施設で、今日はここに泊まるらしかった。入ると廊下が正面と左手に分かれていて、左手には三点ユニット、正面には寝室があった。寝室にはベッドが五つ置かれており、空いたスペースには色違いの寝巻きが入ったクローゼット、テレビとニンテンドー64が置かれていた。私たちは順番にシャワーを浴び、テレビには触らずに眠った。
次の朝、私は首を斬られて死んでいた。頭は結局見つからなかったらしい。もう一人、背の高い女性も重体の怪我を負い、間もなく死んでしまった。聞くところによれば、最近この辺りに出るという盗賊団の仕業だったそうだ。
それだけの事件が起こったのにも関わらず、イベントは何事もなく続行され、私と彼女は幽霊になった。同じ部屋に泊まっていた三人だけには私たちの姿が見えているらしい。五人で夕食を食べたホテルへ向かい、朝食を摂った。
私たちが座っているテーブルには唐揚げが山積みにされており、唐揚げが大好きな私はそれを羨望の眼差しで見ていた。あまりにも熱心に見ていたので、隣に座っていた女性から「食べればいいじゃない」と言われたが、私は「幽霊だから食べられないよ」と返した。
その後、五人は食堂を出て、上の階に行くためエレベーターへ向かった。幽霊になった女性が私に向かって「私、死ぬ前に本を読みたかった」と話しかけてきた。私は、本なら他の人に読んでもらうか、ページをめくってもらうかすれば読めるじゃないか、私は唐揚げも食べられなかったし、ニンテンドー64ももうできないんだよ、というような内容をぶちぶち言っていた。
そのエレベーターは殆どの面がガラス張りでできていた。景色が上も下もよく見えた。上には細長い雲が思い出したようにぽつぽつと、下には森か山の深い緑色が見えた。
私と幽霊少女はエレベーターに乗っている間中、お喋りをしていた。ここの会話は何故かとてもよく覚えている。
「こういうエレベーターってたまに下を見ると怖いよね」
「そうそう、今にここから下まで落ちるんじゃないかって思うよね」
「ほら、上の景色を見てごらん」
「いい天気だねえ」
「段々、天国に近づいて行くような気がしない?」
私達は悲鳴を上げた。それと同時にドアが開き、駆けだした。正面には雪の積もっている家の屋根だけを置いたようなオブジェがあって、そこへ向かって走り天辺近くで倒れこんだ。何がおかしかったのか、二人で笑い転げた。
私と幽霊少女は山道を歩いた。右手には下へ向かう崖、左手には上へ向かう崖があった。左手の崖に跳び箱が斜めに突き刺さっている。「今ならあれ、飛べる気がする」とぽつりと言ってみた。
やがて山の中腹に出た。そこには私達が利用した宿泊施設のような建物が六、七件、円を描くようにぽつぽつと建っていた。入って一番手前の左側にある建物の前には、私のことを「ポニョ、ポニョ」と一生懸命に呼ぶ髪の長めの小さな女の子がいた。彼女は私達のことを知っていたし、私達も彼女のことを知っていた。そして、私達が歩いてきた道から盗賊団がこの集落にやってくること、彼女のことを守らなければいけないことをすぐに理解した。
彼女は建物の中へ入り、鍵を閉めた。建物の中は外から見たよりもかなり小さく、五人入れば精一杯の広さと私が立つと頭がつかえそうな高さしかなかった。窓から外を見ると、盗賊団の皮膚が裂けて体中から角が生えていた。奴等の正体は鬼だった。この建物は見た目よりも頑丈なようで、鬼が扉を力いっぱいに殴りつけても大きな音と少しの振動がするだけだった。
(目が覚めてから考えてみると、この辺りで私は男になっていた)
さて、どうするかと私は座って壁に背を預けた。するといきなり壁が透け、ひっくり返り上半身が建物の外に出て頭を地面に打ってしまった。どうやら幽霊になって時間が経ってしまい、現世との関わりが持てなくなってきているらしい。他の二人から心配され、いつ地面が透けるかわからないので常に少し宙に浮いていることにした。
「実は作戦があるの」女の子はそう言い、小物入れと呼んでもいいほどの小さな箪笥を指差した。その上には黄葉しかけている一枚の葉っぱがあった。それを鬼の鼻に押し当てて来いと言うのだ。幽霊少女は私より死亡時刻が遅かったせいか、葉っぱくらいなら持つことができるようで、それを持って外へ出て行った。
女の子は仁王立ちして、真剣な表情で扉を見つめ続けていた。私は彼女の隣で、少し浮きながら腹這い状態になっていた。私はだんだんとこの世にいる確証を持てなくなってきている自分の体と自分の守るべき人の危機に何も対策を思いつかずにいた。僕は君のために何もできないのか、こうして恐怖に耐える君をただ見ていることしかできないのか。そう思ってとても悲しい気持ちになった。
僕は君のために何かしてあげられないのかと、そう言おうか言わまいかと考えあぐねているうちに目が覚めてしまった。
せめて返事を聞きたかった。
☆☆☆
母と隣の県まで三者面談に行ってきました。
殆ど一言も喋らなくてすみません。
今年度は勉強のやり方とかペース配分とか提出物の量がわからなくてさぼり気味だったからなあ。そのことを少々指摘されてしまいました。ちょっとはわかってきたので来年度はなんとかなる、はず。多分。
面談が終わった後、近くに徳川家康が祀られているという神社を発見したのでぶらりと立ち寄ってみました。結構交通量が多い道路脇だったのですが、鳥居をくぐると驚くほど静かで、神社の中と外が別世界のようでした。ポケットに丁度十円玉が入っていたので、賽銭箱に入れて手を合わせてきました。
高速道路の山道がとても綺麗でした。今度は一人でドライブに行きたいです。でも高速道路は去年に一度だけしか走ったことがないから怖い。
ユニコーンのアルバムを買いました。AUTUMN LEAVESと水の戯れ、HELLOがとても好き。妹はWAO!とブラックタイガーが気に入ったそうです。
いとこはライブチケットを取り損ねたそうです。
それでもどうしても行きたいので、いとこは行かないことにして(いとこが彼らを好きなことは知っているがどのくらい好きなのかは知らないし、私よりもずっと年上なので行きたかったら自分でなんとかするだろう)、妹と二人で父に送ってもらい、彼が今住んでいる隣の隣の県まで行くことになりそうなのです。
しかしそのチケットも既に売り切れでした。なので母がオークションを見てくれています。結構な量が出品されているそうです。
本体一万円で手数料七万円とか、通常高いもので八千円近くなのにペアで四万近くまで値が吊り上がったりとか、一人で十枚近く出品している人とかがいて物凄い世界らしいです。果たしてなんとかなるのでしょうかね。
ホームページに転売しないでって書いてあったじゃん…。読んでないのかよ…。純粋なファンが迷惑してるんだよ…。彼らのライブが見に行きたいのにどうしてオークションの出品者にお金払わないといけないのさ…。これで儲けるだけ儲けて自分ライブ行かないとかだったら怒るよ…。


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