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2013年11月30日 (土)

奥の方

帽子の人の、記憶の奥の方にある、誰かの最後の言葉

☆☆☆

「早く死んでしまえ、って言われたの」
「いままで、ひどいこと沢山言われてきたけど、死ねって言われたのは初めてでね」
「そっか、わたし、死んでもよかったんだって」
「いままで、家族がこのまま暮らしていけるんだったらわたし一人我慢してもいいかなって思ってたけどね」
「いなくなっても、困らないんだって」
「だからね、いなくなろうかなって思ったの」

「わたしね、好きなものってよくわからなかったんだ」
「家族も、花も、宝石も、本も、おもちゃも、多分好きじゃなかったんだと思う」
「でもね」
「でも」
「わたし」
「もしかしたら、あなたのこと、好きだったのかもしれなかったな」
「じゃあね」
「さようなら」

☆☆☆

彼女はチコニアという名でした。
彼女は頭があまりよくなく、どんくさくて、要領の悪い子でした。
返事を考えるのに時間がかかってしまい喋るのが苦手でしたが、「ごめんなさい」だけはすぐに言うことができるような、そんな女の子でした。
絵も、今度描いてあげたいね。

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